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有価証券の評価その5~有価証券の評価②~

今回は、残りの関連会社株式とその他有価証券を見ていきます。

子会社株式・関連会社株式

まずは、この2つの違いについて確認していきましょう。

子会社株式とは、親子関係を形成するために、議決権50%超の株式を取得するものです。50%超の株式を取得することにより、株主総会では筆頭株主となり、経営権を掌握できます。取締役の解任決議など重要な決定権について、大きな影響を与えるものです。ドラマでは、親会社の重役を子会社の代表取締役に据えるようなことはよく見かけるネタです。

一方、関連会社株式は、50%超に満たないまでも、会社の決定権に影響を与える議決権(20%~50%)を有する株式のことをいいます。周りの議決権を取り込めば、子会社株式と同じ効果が期待できるのです。

子会社株式と関連会社株式は、貸借対照表では関係会社株式としてまとめて表示されます。関連会社株式と関係会社株式…非常に似ていますので混乱しないように覚える必要があります。

この関係会社株式は、売買目的有価証券や満期保有目的債券のように利殖目的ではなく、支配目的であることがわかります。また、言い換えれば、前者はいつか手放すものであるのに対し、後者は手放すことを通常想定していません。

そのため、決算において、よっぽどのことがない限り評価替えはしません。2級では取得原価のまま何もしないということを覚えておいてください。

その他有価証券

その他有価証券は、売買目的有価証券・満期保有目的有価証券・関係会社株式に属さない株式のことをいいます。

具体的には、「売買目的ではないが、いつか手放すものとして配当金や債券利息狙いで保有する株式」や「関係会社株式のように支配目的ではないが、優待株主のように得意先と良好な関係を維持するために保有している株式」などがあげられます。

ただし、貸借対照表では、満期保有目的と同じ投資有価証券として表示します。

期末での処理については、売買目的ではないので、評価差額(帳簿価額と時価の差)については、原則、損益計算書には計上しません。

その代わり、その評価差額はその他有価証券評価差額金(純資産)として、貸借対照表の方で計上します。

評価差額の計上方法には、全部純資産直入法部分純資産直入法がありますが、2級では全部純資産直入法のみを学習します。

 

例)決算日において、C社株式(その他有価証券)の帳簿価額は10,000円であるが、時価は9,000円だった。なお、当社は全部純資産直入法を採用している。

今回、10,000円から9,000円に値下がりしているため、その他有価証券の価額を1,000円減らします。相手勘定は、その他有価証券評価差額金とします。

(その他有価証券評価差額金)1,000/(その他有価証券)1,000

なお、10,000円から11,000円に値上がりしたときも、勘定科目の使い分けはしません。その場合は以下の仕訳となります。

(その他有価証券)1,000/(その他有価証券評価差額金)1,000

 

ここで、一つ思い出したことを伝えておきます。簿記の試験では、いらない情報をくっつけてわざと長文で読みにくくしている傾向があります。

例えば、「当社は全部純資産直入法を採用している。」というくだりも、2級ではその方法しかないのだから表示する必要はないだろうという情報をくっつけます。処理の方法は知っているが、いざ全部純資産直入法って何だっけ?と受験生を悩ませるわけです。

このような手法は、数多くの問題で見かけます。その見かけにとらわれず、今まで習ってきたことを素直にやればいいだけなので、わからない文言が出てきたときは惑わされずスルーしましょう。