個別原価計算がオーダーメイドだったのに対し、総合原価計算は同規格の製品を大量生産する場合に使われます。
この総合原価計算では、事前に用語や計算に使うボックスの説明などをした方がいいと思いますので、今回は事前説明をします。
直接材料費と加工費
総合原価計算は、製造費用を直接材料費と加工費に分類することから始まります。費目別計算では、材料費・労務費・経費・製造間接費と4つ覚えたのに、あまり使いません。
そして、商業簿記では年度単位が多かったのに比べて、工業簿記では月単位で物事が進みます。そのため、何でも月次締めで行っています。
また、「費用の投入時期」をいう考え方が重要で、直接材料費や素材費は、通常製造を始める際に一気に準備して取り掛かるため、その月に作業が終わらなくてもかかった費用は変わりません。
一方、賃金などの労務費や電気代などの経費を加工費といいますが、これについては、製造の経過に応じて費用が変動します。月末時に作業が終わらなかった製品(月末仕掛品)には加工進捗度という製造の進み具合の度合いが示されています。
例えば、4割方の仕掛品が残っている場合には、加工進捗度40%と表記されます。
仕掛品ボックス
総合原価計算や標準原価計算では工場にある元帳のうち仕掛品を簡略化したボックスを使って解きます。
月初在高(月初仕掛品)は、前月完成に至らなかった仕掛品の部分です。
なので、月末在高(月末仕掛品)は、当月完成に至らなかった仕掛品の部分です。
そして、当月投入は当月製造に要した費用の部分となり、当月完成は当月完成し、製品勘定へ振り替えられる部分となります。
費目別計算の材料費のところでお話ししましたが、月初在高の単価と当月投入の単価が違うため、材料を仕入れたときの計算方法と同じものが使われます。
先に費用計上されているもの(月初仕掛品の単価)から先に当月製造費用とする方法を先入先出法(First In First Out method:FIFO)といいます。
また、月初仕掛品の単価と当月投入の単価を平均として当月製造費用とする方法を平均法(Average Method:AM)といいます。ここでのルールとして、仕掛品ボックスへの表記は短縮したものを使っています。
最後に仕損ですが、部門別個別原価計算で出てきましたが、合格品とならなかったものをいいます。
この5つの配置と位置については、何度も解いていくうちに自然と覚えていきます。
総合原価計算の種類
総合原価計算には、単純総合原価計算・工程別総合原価計算・組別総合原価計算・等級別総合原価計算の4種類があります。また、工程別原価計算の方法には、累加法・非累加法があり、仕損の処理方法には、度外視法・非度外視法があります。
個々の説明は、それぞれの回にするとして、概要は以下のとおりです。
単純総合原価計算をベースとして、事前に仕込みをするのが組別総合原価計算、単純総合原価計算を2度以上繰り返すのが工程別総合原価計算、最後の仕上げをするのが等級別総合原価計算となっています。
すべて、分かるようになったらもう一度この図を見返してみてください。今は何となくで構いません。
ということで次回は単純総合原価計算の基本形を解説します。