リース取引その1~リース取引の内容とオペレーティング・リース取引~
コピー機やパソコンなどの事務用機器を購入するのではなく、あらかじめ決められた期間にわたって借りる契約をリース取引といいます。
そして、リースの対象物をリース物件、借りる期間をリース期間といいます。
リース取引には、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引があります。
ファイナンス・リース取引とは、期間中は解約ができないこと(期間中に解約すると多額の違約金が発生)、フルペイアウト(期間中は所有者のように経済的利益を得る代わりにかかる費用も負担する)の条件を満たす取引をいいます。処理方法は、通常の売買取引と同じ取引をします。
オペレーティング・リース取引とは、上記以外の取引をいいます。処理方法は、通常の賃貸借取引と同じ取引をします。
内容的にファイナンス・リース取引の方が容量があるので、今回はオペレーティング・リース取引を取り上げます。
オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引は通常の賃貸借の取引を行います。したがって、リース料を支払うための仕訳だけを行います。
例)次の一連の取引について仕訳をしなさい。
×1年5月1日 リース契約(オペレーティング・リース取引に該当)を締結し、リース期間3年、年間リース料12,000円(支払は毎年4月末日)でコピー機を取得した。
×2年3月31日 決算日を迎えた。
×2年4月1日 再振替仕訳を行う。
×2年4月30日 第1回目のリース料12,000円を現金で支払った。
①取引開始時(契約時)の処理
取引を開始したときは、特に仕訳はありません。
②決算日の処理
5月から3月までの11か月分については、使用しているにもかかわらず、未払いの状態ですので、費用の未払と同じ処理をします。使う勘定科目は、支払リース料(費用)と未払リース料(負債)です。
年間リース料は12,000円ですので、12か月で割ると月々の支払いが1,000円となります。その11か月分ですので11,000円を未払い計上します。
(支払リース料)11,000/(未払リース料)11,000
③翌期首の処理
期首に決算で行った仕訳を元に戻します(再振替)。
(未払リース料)11,000/(支払リース料)11,000
④支払時の処理
1年分のリース料を支払う仕訳をします。
(支払リース料)12,000/(現金)12,000
余談ですが、実際の経理では、支払リース料(費用)を賃借料(費用)、未払リース料(負債)を未払費用(負債)とすることもあります。
なお、再振替をしないパターンもありますので、以下に別解答を示しておきます。
①②までは同じ
③は再振替をしないので仕訳不要
④支払時の仕訳
(未払リース料)11,000/(現金)12,000
(支払リース料)1,000
問題文では、再振替をするかしないの判断については、「再振替仕訳をする」との一文しか書かれていないので、問題文に何も書かれていないとき、もしくは再振替の仕訳の解答欄がないときは再振替をしないパターンですので、注意深く判断する必要があります。