決算整理仕訳とは、正確な決算書を作成するために調整を行う仕訳のことをいいます。
3級で行う決算整理仕訳には以下のものがあります。
①現金過不足の処理
②当座借越への振り替え(当座預金がマイナス残高の場合)
③貯蔵品への振り替え(本試験では次年度に繰り越す郵便切手と収入印紙)
④貸倒引当金の設定
⑤減価償却費の計上
⑥売上原価の計算
⑦収益・費用の前払い・前受け、未払い、未収
⑧消費税納付額の計算
⑨法人税等の計上
以上の項目を順に説明していきます。
現金過不足の計算
まずは、こちらの記事をご覧ください。
polytech-mk.hatenablog.com
現金過不足が決算日になっても判明しなかった場合において、現金過剰のときは、雑益(収益)で処理をします。また、現金不足のときは、雑損(費用)で処理します。
例1)決算日において、現金過不足(借方)が1,000円あるが、その原因は不明である。
現金過不足が借方残高の場合は、以下のような仕訳をしています。
原因:(現金過不足)1,000/(現金)1,000
現金が貸方にあるので、現金が不足していることになります。よって、借方に雑損(費用)で処理します。
現金過不足は、決算書には出てこない勘定科目なので、貸方に記入します。
答え:(雑損)1,000/(現金過不足)1,000
本試験を受ける方は、前後の関係がわからなくなってしまったときには、必ず今回の原因となる仕訳を書いてみてから、問題に挑んでもらうことを徹底しています。
すんなり答えが出る人でも、終わりの時間で解答の確認を行うときは、必ずこの確認に仕訳をすることで、ケアレスミスを防止することができます。
比較的簡単でほとんど考えなくてもよい問題に単純ミスの落とし穴があることに注意してください。今後、忘れていなければ(汗)、3級でも2級でも前後の仕訳を示して説明したいと思っています。
例2)決算日において、現金過不足(貸方)が1,000円あるが、その原因は不明である。
現金過不足が貸方残高の場合は、以下のような仕訳をしています。
原因:(現金)1,000/(現金過不足)1,000
現金が借方にあるので、現金が過剰していることになります。よって、貸方は雑益(収益)で処理します。
こちらも現金過不足勘定を借方に記入して、ゼロにします。
答え:(現金過不足)1,000/(雑益)1,000
当座借越への振り替え
こちらの過去の記事をご覧ください。
polytech-mk.hatenablog.com
こちらの後半の記事で当座借越契約のお話をしています。
例)決算において、当座預金の残高(貸方)は50,000円であった。なお、当社は500,000円の当座借越契約を結んでいるため、適切な勘定に振り替える。
原因の仕訳を示すなら以下のとおりです。わからない勘定科目は、???とか横棒一線、空白などで記入します。
原因:(???)50,000/(当座預金)50,000
決算日になっても当座預金が貸方残高ということは、銀行から借金をしていることになります。そのため、当座借越(負債)もしくは借入金(負債)で処理します。
答え:(当座預金)50,000/(当座借越)50,000
これで、当座預金がゼロになり、当座借越が50,000円(貸方残高)となります。
これは資産・負債・純資産勘定、共通してですが、決算が終わったときには、期首(会社では4月1日)に決算整理仕訳の逆仕訳(再振替)をして、元通りにする作業があります。
再振替:(当座借越)50,000/(当座預金)50,000
再振替の問題は、たまに第1問の仕訳問題で出題されることがあります。