ポリテク火星出張所!

商業高校あがりの行政書士が日商簿記をはじめとして資格支援のためにブログを書いています。

154回日商簿記2級の解答について~第4問 個別原価計算~

2級は、こちらで指定した解く順番で公開しております。ということで第2問と第3問を飛ばして工業簿記の範囲に入ってきました。

第4問は、(実際)個別原価計算です。工業簿記の中でも比較的難しいというか、面倒な分野といえます。個別原価計算はオーダーメイドに向いている計算方法のため、1個1個の仕上がり状態を考えながら解く必要があります。

 ニッショウ製作所の新潟工場では、当月から高級家具の受注生産を行っており、製品原価の計算には実際個別原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、下記のに答えなさい。

[資料]

1.当月の直接材料購入量・在庫量

月初在庫高 350㎏(実際購入単価 1,300円/㎏)

当月購入量 1,300㎏(実際購入単価 1,240円/㎏)

月末在庫量 300㎏(棚卸減耗等はなかった)

2.当月の原価計算

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(注)直接材料費は予定消費単価、製造間接費は予定配賦率を使用して計算している。

3.製造間接費月間予算(固定予算)1,360,000円

4.当月の生産状況

⑴製造指図書#0201および#0202は当月製造に着手し、当月末までに#0201は完成し、#0202は未完成であった。

⑵製造指図書#0201-1は一部仕損となった。#0201を合格品とするために発行した補修指図書であり、仕損は正常なものであった。なお、補修は当月中に開始し、当月中に完了している。

問1 下記の⑴~⑶について仕訳を示しなさい。なお、勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

材料 仕掛品 消費価格差異 製造間接費 製品 買掛金

⑴当月分の直接材料実際購入高を計上する。なお、材料はすべて掛けにて購入した。

⑵当月分の直接材料費を計上する

⑶直接材料の消費価格差異を計上する。実際消費単価は先入先出法にもとづいて計算する。

問2 当月の完成品単価を計算しなさい。

問3 答案用紙の製造間接費勘定を完成しなさい。

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問1 仕訳問題

 ⑴直接材料費の購入

資料1.の当月購入量のデータから計算します。

実際購入金額:1,300㎏×@1,240円/㎏=1,612,000円

 【正解の仕訳】

(材料)1,612,000/(買掛金)1,612,000

⑵当月分の直接材料費の計上

資料2.当月の原価計算表の直接材料費の合計額1,620,000円が、そのまま消費金額となります。

【正解の仕訳】

(仕掛品)1,620,000/(材料)1,620,000

⑶消費価格差異の計上

月初在庫+当月購入-月末在庫=実際消費額予定消費額を比較して、消費価格差異を計算しますが、ここは材料ボックスを使って説明をします。

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月初在庫分を水色、当月購入分をオレンジ色の材料とすると、当月の材料消費高は水色とオレンジ色の在庫が混在しています。ところが、月末在庫はオレンジ一色となっています。そして文中には「棚卸減耗等はなかった」と書かれているため、すべて無駄にするものはなかったといえます。これは貸借が同じ㎏・同じ金額で一致することを意味しています。

冒頭の計算式のとおりに計算すると、

455,000(月初在庫)+1,612,000(当月購入高)-372,000(月末在庫)=1,695,000円(実際消費高)

実際消費高は1,695,000円であるべきなのに、予定消費単価を使っているため1,620,000円で材料ボックスには収まっています。

つまり、その差額75,000円消費価格差異となります。結果的に予算より多く使ってしまったこと(赤字)を意味しています。

材料ボックスの貸方に75,000円の枠があるので、材料を貸方に記入します。そして、相手勘定は消費価格差異となります。

【正解の仕訳】

(消費価格差異)75,000/(材料)75,000

原価差異の原則として、赤字差異は借方差異で黒字差異は貸方差異です。つまり、消費価格差異は借方に記入することを覚えておきましょう。

第2問 当月完成品原価の計算

第1問はどちらかというと費目別計算の内容でしたが、第2問からが個別原価計算の内容となります。

通常は、原価計算表に仕上がりの状態を記入して、その中から完成品を計算するのですが、そんなことをしなくても今回の問題は簡単に計算できます。

4.当月の生産状況により、#0201が完成していて、#0202は未完成と記されています。#0201-1は#0201の補修費(仕損費)です。つまり、#0201と#0201-1は完成品として合算すればいいだけです。

0201の製造指図書の原価:660,000+340,000+544,000=1,544,000円

#0201-1の補修指図書の原価:120,000+80,000+128,000=328,000円

完成品原価:1,544,000+328,000=1,872,000円

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第3問 製造間接費勘定の完成

予定配賦額、予算差異、操業度差異を計算する問題です。

予定配賦額については、原価計算表の製造間接費合計1,312,000円です。

予算差異については、算額-実際発生額で計算します。

3.の製造間接費月間予算(固定予算)1,360,000円と実際発生額1,382,200円(答案用紙に記載)から、

予算差異:1,360,000-1,382,200=▲22,200円(借方差異・不利差異)となります。

操業度差異については、予定配賦額-予算額で計算します。

操業度差異:1,312,000-1,360,000=▲48,000円(借方差異・不利差異)となります。

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これを解答用紙に記入して完成となります。

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154回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題②~

今日は仕訳問題の第3問から始めます。

第1問の3 退職金の支払い

 従業員の退職時に支払われる退職一時金の給付は内部積立方式により行ってきたが、従業員3名が退職したため退職一時金総額¥27,000,000を支払うこととなり、源泉所得税分¥4,000,000を控除した残額を当座預金から支払った。

退職金制度には、企業年金制度による外部積立方式と、退職一時金による内部積立方式がありますが、2級では内部積立方式しか出ませんので、あまり深く考える必要はないでしょう。ただ、単に退職給付引当金を積み立てている位に考えておいて結構です。

そして、積立金額が明確に記載されていないため、全額を退職給付引当金で賄うことができたと想定されます。たとえば、退職給付引当金が20,000,000円と書かれていた場合、超過する7,000,000円については退職給付費用(費用)で処理します。

また、源泉所得税については、所得税預り金(負債)で処理する方法を3級で学習しましたが、勘定科目一覧にはその項目はありません。その代わり預り金(負債)がありますから、それで処理することとなります。

【正解の仕訳】

(退職給付引当金)27,000,000/(当座預金)23,000,000

               /(預り金)4,000,000

第1問の4 外貨建取引

 海外の取引先に対して、製品500,000ドルを3か月後に決済の条件で輸出した。輸出時の為替相場は1ドル¥110であったが、1週間前に3か月後に300,000ドルを¥107で売却する為替予約が結ばれていたため、この為替予約分については取引高と債権額に振当処理を行う。

これはあまり見ない形の問題だと思います。大抵は全額為替予約にする問題が基本となっています。ただし、為替予約と文章の意味がわかれば、十分に解ける問題であったと思います。

まず、製品を輸出するということは、海外に売り上げているということです。したがって、貸方に売上(収益)が入ります。また、3か月後に決済と書かれているため、売掛金(資産)が貸方に入ります。

売掛金)×××/(売上)×××

問題は、その金額です。前半部で300,000ドルを1ドル107円で為替予約をしています。したがって、その分の売掛金は300,000ドル×107円=32,100,000円となります。

残りの200,000ドルについては、輸出時の為替相場である110円で計算をします。したがって、その分の売掛金は200,000ドル×110円=22,000,000円となります。

最終的な売掛金の金額は、32,100,000+22,000,000=54,100,000円となります。

【正解の仕訳】

売掛金)54,100,000/(売上)54,100,000

第1問の5 ソフトウェアと除却

問 外部に開発を依頼していた社内利用目的のソフトウェア(開発費用¥30,800,000は銀行振込により全額支払済み)が完成し使用を開始したため、ソフトウェア勘定に振り替えた。なお、この開発費用の内容を精査したところ¥30,800,000の中には、ソフトウェアの作り直し対象となった部分の費用¥5,800,000が含まれており、資産性のないものとして除却処理することとした。

除却の問題が1と5で出題されています。通常、ソフトウェアが完成する前の段階はソフトウェア仮勘定(資産)で処理します。建設仮勘定(資産)と同じように「勘定」も科目名に含まれています。間違っても「ソフトウェア仮」にしないようにしましょう。

銀行振込済みであることから、すでに仕訳は済んでいます。

(ソフトウェア仮勘定)30,800,000/(当座預金など)30,800,000

ソフトウェアが完成したときは、改めてソフトウェア(資産)に振り替えます。ただし、ここで作り直しのゴミが発生してしまったため、その部分については固定資産除却損(費用)で処理します。

【正解の仕訳】

(ソフトウェア)25,000,000/(ソフトウェア仮勘定)30,800,000

(固定資産除却損)5,800,000/

テキストで実際には習っていなくても「除却」が記されている科目は「固定資産除却損」しかありません。他にも当てはまるものもありませんので、自信をもって「これだ!」と思う勘定科目を使いましょう。

154回日商簿記2級の解答について~第1問 仕訳問題①~

今日から2級の方に移ります。152回から数えて3回目になるので、過去から見ていただいた方は、このブログでのおおよその解き方はご理解いただけるものと思っています。

今回の順番は、1→4→5→3→2もしくは1→4→5→2→3です。

仕訳問題が終わったら工業簿記を先に解きます。続いて、特にひねりのない損益計算書。最後に時間のかかりそうな商品売買をします。プチ商品有高帳のような表を作らなければならないのが厄介です。それでは順に解説していきます。

 

第1問 下記の各取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選び、正確に記入すること。

貯蔵品 建設仮勘定 返品調整引当金戻入 未払法人税 当座預金 売上 ソフトウェア のれん 退職給付費用 ソフトウェア仮勘定 建物 機械装置 リース債務 預り金 租税公課 現金 未払金 普通預金 仕入 減価償却費 固定資産圧縮損 リース資産 売掛金 退職金 返品調整引当金 退職給付引当金 買掛金 リース資産減価償却累計額 仮払消費税 固定資産除却損 為替差損益 給料手当 仮受消費税 返品調整引当金繰入 受取手形 固定資産受贈益

第1問の1 リース取引とリース物件の除却

 ×1年4月1日から、ファイナンス・リース取引に該当する事務機器のリース契約(期間5年間、月額リース料¥60,000を毎月末支払い)を結び、利子込み法により会計処理してきたが、×4年3月31日でこのリース契約を解約して×4年4月以後の未払リース料の残額全額を普通預金から支払い、同時にこのリース物件(×4年3月31日までの減価償却費は計上済)を貸手に無償で返却し除却の処理を行った。

この問題では、「リース開始時」と「毎月のリース料の支払時」「決算時の減価償却」から「除却時の取引」を仕訳することとなります。

①リース開始時の取引

リース機器の総額:60,000円(月額リース料)×60か月(5年間)=3,600,000円

ファイナンス・リース取引なので、通常の売買取引と同じように処理します。また、利子込み法なので、利率を気にする必要がありません。

(リース資産)3,600,000/(リース債務)3,600,000

360万円のリース機器を入手したと同時に同額の借金を背負った形になります。

②月額リース料支払い時の処理

毎月リース機器の使用料として、60,000円のリース料を支払っています。これを仕訳すると以下のとおりとなります。

(リース債務)60,000/(現金預金など)60,000

この支払いを3年間してきましたので、それをまとめた仕訳が以下のとおりとなります。

3年間のリース料:60,000×36か月(3年間)=2,160,000円

(リース債務)2,160,000/(現金預金など)2,160,000

③決算時の処理

年度末の3月31日に減価償却を行います。金額は年間のリース料と同額です。

減価償却:60,000円(月額リース料)×12か月(1年間)=720,000円

これが×1年度~×3年度の3年間にわたって、行われてきたので便宜上まとめて仕訳を記入します。通常は決算日に返却・除却しているので減価償却は×2年度まで行われていて×3年度の減価償却は今回の仕訳の中に入りそうなものですが、文中に「×4年3月31日までの減価償却は計上済」と記入されています。したがって、3年分の減価償却費を事前に計算しておく必要があります。

3年間の減価償却:720,000円×3年=2,160,000円

減価償却費)2,160,000/(リース資産減価償却累計額)2,160,000

以上が除却直前の取引をまとめたものです。

④除却時の取引

ここは、「除却の取引」と「残債務の清算取引」に分けて説明します。

まずはリース機器の処分は、有形固定資産の処分と同じように処理します。リース資産(資産)を貸方に記入するとともに、その減価償却累計額を借方に記入します。差額は固定資産除却損(費用)で処理します。

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

続いて、残債務の清算です。

開始時のリース債務から今まで支払ったリース債務を差し引いた金額が、残債務となります。文中には、この残額全額を普通預金から支払った旨が書かれています。

リース料の残債務:3,600,000-2,160,000=1,440,000円

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

この2つを合わせたものが正解の仕訳となります。

【正解の仕訳】

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

簿記を勉強していれば周知の事実ですが、除却時の取引と残債務の取引が逆であっても正解です。念のため…。

(リース債務)1,440,000/(普通預金)1,440,000

(リース資産減価償却累計額)2,160,000/(リース資産)3,600,000

(固定資産除却損)1,440,000/

第1問の2 返品調整引当金の設定

 販売した商品の一部については販売先からの請求にもとづき販売価格で引き取る契約を結んでいる。直近の6か月の売上¥14,400,000のうち50%はこのような契約をともなう売上であり、売上に対する返品率は45%と推定され、返品対象の売上総利益率は25%であった。この直近6か月の売上に対する予想返品に含まれる売上総利益率相当額について、返品調整引当金を設定する。

いろいろと複雑なことを書いていますが、順序通りに計算していけば返品調整引当金の金額は出ます。

まずは、一部を引き取る契約の金額は、14,400,000×50%=7,200,000円です。

そのうち売上に対する返品率に対する金額は、7,200,000×45%=3,240,000円です。

さらに、その売上総利益率相当額は、3,240,000×25%=810,000円です。

この810,000円返品調整引当金の金額となります。

【正解の仕訳】

(返品調整引当金繰入)810,000/(返品調整引当金)810,000

 

弊事務所では、簿記講座をはじめとする社会に使える資格を個別指導方式で教えています。この簿記2級の本試験問題については、「日商簿記2級実戦編」として北海道旭川市近辺の方を対象に行っていますので、よろしくお願いいたします。

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154回日商簿記3級の解答について~第5問 財務諸表の作成②~

前回に引き続き、3級の第5問決算整理事項4.からです。

まずは、問題から…。

問 次の⑴決算整理前残高試算表および⑵決算整理事項等にもとづいて、答案用紙の貸借対照表および損益計算書を完成しなさい。なお、会計期間は4月1日から翌3月31日までの1年間である。

⑴決算整理前残高試算表

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⑵決算整理事項等
1.仮受金は、得意先からの売掛金¥70,000の振込みであることが判明した。なお、振込額と売掛金の差額は当社負担の振込手数料(問題の便宜上、この振込手数料には消費税が課されないものとする)であり、入金時に振込額を仮受金として処理したのみである。

2.売掛金の期末残高に対して貸倒引当金を差額補充法により1%設定する。

3.期末商品棚卸高は¥400,000である。

4.有形固定資産について、次の要領で定額法により減価償却を行う。

 建物:耐用年数22年 残存価額ゼロ

 備品:耐用年数4年  残存価額ゼロ

なお、決算整理前残高試算表の備品¥600,000のうち¥200,000は昨年度にすでに耐用年数をむかえて減価償却を終了している。そこで、今年度は備品に関して残りの¥400,000についてのみ減価償却を行う。

5.消費税の処理(税抜方式)を行う。

6.社会保険料の当社負担分¥10,000を未払い計上する。

7.借入金は当期の12月1日に期間1年、利率年4%で借り入れたものであり、借入時にすべての利息が差し引かれた金額を受け取っている。そこで、利息について月割により適切に処理する。

8.未払法人税等¥200,000を計上する。なお、当期に中間納付はしていない。

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決算整理事項4 有形固定資産の減価償却

備品については2つあり、200,000円の備品については減価償却が終わっています。残り400,000円について減価償却を行います。

建物の減価償却:2,200,000(前T/B)÷22年(耐用年数)=100,000円

備品の減価償却:400,000(説明済みの金額)÷4年(耐用年数)=100,000円

損益計算書(P/L)の減価償却:100,000+100,000=200,000円

貸借対照表(B/S)の減価償却累計額

建物減価償却累計額:200,000(前T/B)+100,000(上記計算)=300,000円

備品減価償却累計額:299,999(前T/B)+100,000(上記計算)=399,999円

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決算整理事項5 消費税の処理

仮払消費税仮受消費税の大きい方から小さい方を差し引いた金額を計算します。仮受消費税が多ければ未払消費税(負債)となり、仮払消費税が多ければ未収還付消費税(資産)となります。ただし、解答欄には( )消費税として貸方に表示されていますので、未払消費税で確定です。

未払消費税:1,001,000(前T/B仮受消費税)-650,000(前T/B仮払消費税)=351,000円

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決算整理事項6 法定福利費の計算

厚生保険の社会保険料は、会社と従業員とで折半することとなります。会社分は法定福利費(費用)として、従業員分は給料から天引きとなり、預り金(負債)などで処理した後、金融機関で支払います。

今回は、しっかり文中に「当社負担分」と書かれているので、法定福利費(費用)となります。相手勘定は、未払法定福利費(負債)で処理します。貸借対照表(B/S)の表示は、未払費用(負債)となります。

法定福利費:200,000(前T/B)+10,000=210,000円

未払費用(未払法定福利費):10,000円

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決算整理事項7 前払利息の計上(繰り延べ)

借入金の利息は、元金×年利率で計算できます。元金は貸借対照表(B/S)の借入金残高です。この利息は支払利息(費用)で処理します。

支払利息:1,500,000(前T/B借入金)×4%=60,000円

文中には「借入時にすべての利息が差し引かれた金額を受け取っている。」と書かれているため、支払利息100,000円の中にその分がすでに計上されていることを意味しています。

借入時が12月1日、決算日が3月31日で4カ月経過しています。つまり、8カ月分は翌期のものとなりますので、この分について前払利息(費用)で処理します。貸借対照表(B/S)の表示は前払費用(費用)となります。

前払費用(前払利息):60,000×8か月/12か月=40,000円

(前払費用)40,000/(支払利息)40,000

損益計算書(P/L)の支払利息:100,000(前T/B)-40,000(上記計算)=60,000円

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決算整理事項8 未払法人税等の処理

前T/Bにも表示されていませんが、中間納付がされていないため仮払法人税(資産)の金額はありません。

したがって、未払法人税(負債)の200,000円が、そのまま法人税(費用)の金額となります。ちなみに、「法人税等」は「法人税、住民税及び事業税」が正式名称となっています。

法人税等)200,000/(未払法人税等)200,000

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決算整理事項の処理は以上です。この時点で全30点中27点(各3点×9問)が隠れています。残りは当期純利益繰越利益剰余金の部分で1問×3点が残っているだけです。

まずは、空欄の部分を前T/Bの数字で埋めます。そして、貸借対照表(B/S)の借方合計、損益計算書(P/L)の貸方合計を記入します。

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貸借対照表(B/S)の借方合計から貸方合計を差し引いた金額384,001円繰越利益剰余金に、損益計算書(P/L)の貸方合計から借方合計を差し引いた金額135,400円当期純利益となります。なお、繰越利益剰余金384,001円=当期純利益135,400円+前T/B繰越利益剰余金248,601円となれば、当期純利益の確認はOKです。

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もし、これで違う場合には、どこかの計算が間違っていることになります。この場合、2通りの選択があります。

1つは、決算整理事項を1から見直して間違いを探す選択です。もう1つは、この場はここで終わらせて全体のチェックに回る選択です。

意外と今まで順調でも単純ミスは隠れています。残り時間と今までの答案の手ごたえと相談しながらどちらかを選んでください。

次回からは2級の解答解説になります。

 

154回日商簿記3級の解答について~第5問 財務諸表の作成①~

第3問でもお話ししましたが、日商簿記にはいくつかの解き方が存在します。

一、完璧な財務諸表を作成する必要はなく、予想される配点箇所さえ正しく答えることができていれば、スカスカでも得点は望める。

二、決算整理前残高試算表(前T/B)の数字を単に移すだけの箇所は配点にはなっていない。

三、合計は配点箇所ではなく、ひと通り終えた後の検算のためにする作業でしかない。

四、解く前にひと通り問題文を読んで、各小問の関連付けを確認する。その上で、解ける部分から解いていって構わない。

3級では当期純利益が点数に絡んでくるので、三、は結果的に借方だけでも出す必要があります。ただし、当期純利益の部分を捨てても、たった3点の失点です。

この解き方は2級でも成立するので覚えておいてください。

それでは、本題に入ります。

 

問 次の⑴決算整理前残高試算表および⑵決算整理事項等にもとづいて、答案用紙の貸借対照表および損益計算書を完成しなさい。なお、会計期間は4月1日から翌3月31日までの1年間である。

⑴決算整理前残高試算表

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⑵決算整理事項等

1.仮受金は、得意先からの売掛金¥70,000の振込みであることが判明した。なお、振込額と売掛金の差額は当社負担の振込手数料(問題の便宜上、この振込手数料には消費税が課されないものとする)であり、入金時に振込額を仮受金として処理したのみである。
2.売掛金の期末残高に対して貸倒引当金を差額補充法により1%設定する。
3.期末商品棚卸高は¥400,000である。
4.有形固定資産について、次の要領で定額法により減価償却を行う。
 建物:耐用年数22年 残存価額ゼロ
 備品:耐用年数4年   残存価額ゼロ
なお、決算整理前残高試算表の備品¥600,000のうち¥200,000は昨年度にすでに耐用年数をむかえて減価償却を終了している。そこで、今年度は備品に関して残りの¥400,000についてのみ減価償却を行う。
5.消費税の処理(税抜方式)を行う。
6.社会保険料の当社負担分¥10,000を未払い計上する。
7.借入金は当期の12月1日に期間1年、利率年4%で借り入れたものであり、借入時にすべての利息が差し引かれた金額を受け取っている。そこで、利息について月割により適切に処理する。
8.未払法人税等¥200,000を計上する。なお、当期に中間納付はしていない。

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全体の把握

決算整理事項は順番に解いていくのがセオリーです。また、3級においては普通通りに解いていっても、見直しする時間も十分あるものと考えられます。もし、時間が足りなくなってしまうとすれば、事前の過去問や模擬試験の勉強不足といえます。

3級は簿記の入り口であり、あくまで通過地点です。これから2級を受験することを踏まえて決算書問題のテクニックをお話ししていきます。

3級も2級も大きく5つの問題が設定されています。そして、各問題の容量にも濃淡があります。3級でいえば、第3問と第5問が比較的時間のかかる問題です。

そこで、順番に決算整理事項をメモ用紙に書いて、それから解答用紙に書いていくのではなく、わかるものから先に解いて、すぐさま解答用紙に書いていくことを原則とします。いくら決算整理事項を一生懸命メモ書きしても、解答用紙が白紙な状態では0点のままです。

時間の使い方が左右される2級においては、この解き方では死活問題となるのです。3級のうちから、この解き方をマスターしておけば、2級も順調に進めていけるでしょう。

そこで、問題にとりかかる前にいちど全体を見る癖をつけなければなりません。わかるものから解いていっても、途中で修正しなければならない仕訳が出てくれば時間の無駄となります。今回の決算整理事項では1.と2.の売掛金の部分に関連性があるといえますので、必ず1.から解いていかないとならないとならない訳です。

実際に2.の貸倒引当金の設定を先に解いてしまうと、1.で売掛金が変動してしまうので、2.の仕訳を再度検討しなければならなくなります。

とはいっても3級は深く考える必要はないので、順番に解いた方がいいと思われる方は、こんな方法があるんだということを押さえていただければ結構です。

勉強時間が足りなくて、受験日が迫っている。模擬試験も時間が足りないという方は、この方法を使ってみてはいかがでしょうか。

当ブログでは、「決算整理事項を書いたらすぐ解答用紙に書き込む」、この解き方で進めていきたいと思います。

決算整理事項1 仮受金の処理

 決算整理前残高試算表は、以下長いので前T/Bと表示します。(試算表:Trial Balanceの略)

問題文を整理すると、前T/Bの仮受金残高は69,400円、売掛金の振込みは70,000円です。そして、その差額600円は振込手数料となっています。なお、( )書きは振込手数料に消費税がかからないと言っているので、問題文を複雑にしないための配慮です。

まず、前T/Bの仮受金を減らすので、仮受金の全額を借方に記入します。

(仮受金)69,400/(???)×××

つぎに、売掛金(資産)が70000円減少しますので、それを借方に記入します。

(仮受金)69,400/(売掛金)70,000

最後に、その差額の振込手数料600円は、支払手数料(費用)で処理します。

(仮受金)69,400/(売掛金)70,000

(支払手数料)600/

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決算整理事項2  貸倒引当金の設定

1.で売掛金の金額が確定しましたので、その金額に1%掛けて差額補充法により貸倒引当金を計算します。

当期の貸倒引当金:700,000(1.の売掛金)×1%=7,000円

貸倒引当金繰入額:7,000-3,000(前T/B)=4,000円

改めて仕訳をする必要はありません。この金額を解答用紙に記入すればよいのです。

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決算整理事項3 売上原価の算定

まず、繰越商品は期末商品棚卸高の400,000円となります。なお、貸借対照表では「商品(資産)」として表示されます。

そして、売上原価は「期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高」で計算します。

ここでも計算式で解けるので、「仕・繰・繰・仕」の仕訳は不要です。

売上原価:440,000(期首商品棚卸高:前T/B繰越商品)+6,500,000(当期仕入高:前T/B仕入)-400,000(期末商品棚卸高)=6,540,000円

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次回は4.有形固定資産の減価償却から続きをやっていきたいと思います。

 

154回日商簿記3級の解答について~第4問 文章穴埋め問題~

問 次の文章の(ア)から(カ)にあてはまる最も適切な語句を[語群]から選択し、番号で答えなさい。

1.前期以前に貸倒れとして処理した売掛金について、当期にその一部を回収したときは、その回収金額を収益勘定である(ア)勘定で処理する。

2.株式会社が繰越利益剰余金を財源として配当を行ったときは、会社法で定められた上限額に達するまでは一定額を(イ)として積み立てなければならない。

3.主要簿は、仕訳帳と(ウ)のことである。

4.すでに取得済みの有形固定資産の修理、改良などのために支出した金額のうち、その有形固定資産の使用可能期間を延長または価値を増加させる部分を(エ)支出という。

5.当期中に生じた収益合計から費用合計を差し引いて当期純利益(または当期純損失)を求める計算方法を(オ)という。

6.仕訳の内容を勘定口座に記入する手続きを(カ)という。

[語群]

①資本金 ②総勘定元帳 ③分記法 ④転記 ⑤合計残高試算表 ⑥収益的 ⑦損益法 ⑧貸倒引当金戻入 ⑨差入保証金 ⑩資本的 ⑪利益準備金 ⑫決算 ⑬精算表 ⑭財産法 ⑮償却債権取立益 ⑯擬制的 ⑰締切り ⑱受取手数料

第4問の1 貸倒れで処理した債権回収

前期分の売掛債権が貸倒れとなった場合、貸倒引当金を差し引いた残額を貸倒損失(費用)として処理をします。

そのあと倒産した会社を巡って、同じような債権者が残った財産に対して、自社の債権を少しでも回収しようと紛争状態になります。そして、裁判や調停を行った結果、全額とはいかないものの一部を回収できるかも知れません。

前期の決算が終了すると、また損益がリセットしますから、貸倒損失を取り消すことはできません。したがって、償却債権取立益(収益)という新たな収益として計上します。正解はとなります。

この長い単語は一見覚えにくそうですが、一度覚えたら呪文のように離れていかないものです。まるで北斗の拳の「北斗有情破顔拳」「北斗有情猛翔破」のようなものです。

 

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第4問の2 準備金の積立て

詳しくは2級で勉強する範囲ですが、配当を行うには、そのための積立金を資本金とは別に積み立てておかなければなりません。その財布のような役割をするのが利益準備金(純資産)です。正解はとなります。

 

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 第4問の3 主要簿

簿記の帳簿には、主要簿、補助簿、財務諸表等決算書関係の3つがあります。そのうち、主要簿は仕訳帳総勘定元帳の2つだけです。正解はとなります。

 

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 第4問の4 資本的支出と収益的支出

有形固定資産を修理した結果、耐用年数が増えたり、使用価値が高まった場合、その分固定資産自体の金額を増やす処理をしなければなりません。この支出のことを資本的支出といいます。

いっぽう、有形固定資産を修理した結果、現状維持の状態に戻した程度に収まる場合には、修繕費(費用)として処理します。この支出のことを収益的支出といいます。正解はとなります。

 

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 第4問の5 当期純利益の計算方法

2つの財務諸表には、当期純利益が計上されます。なお、貸借対照表当期純利益は、純資産の部の繰越利益剰余金の中に含まれています。

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貸借対照表から導き出す方法を財産法といい、損益計算書から導き出す方法を損益法といいます。正解はとなります。

財産法:資産合計ー(負債合計+期首純資産合計)

損益法:収益合計-費用合計

第4問の5 仕訳帳から総勘定元帳への記入

仕訳帳に記入した取引内容を各総勘定元帳に写す作業を転記といいます。正解はとなります。

 

154回日商簿記3級の解答について~第3問 残高試算表~

問 答案用紙の×7年1月31日の残高試算表と[×7年2月中の取引]にもとづいて、答案用紙の×7年2月28日の残高試算表を完成しなさい。

[×2年2月中の取引]

1日 商品¥500,000を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃¥20,000を現金で支払った。

2日 商品¥800,000を掛けで売り上げた。

4日 売掛金¥500,000が近畿銀行当座預金口座に振り込まれた。

5日 買掛金¥130,000を近畿銀行当座預金口座から支払った。

8日 商品¥390,000を掛けで売り上げた。

9日 商品¥450,000を掛けで仕入れた。

10日 所得税源泉徴収額¥7,000を近畿銀行当座預金口座から納付した。

11日 電子記録債権¥200,000が決済され、関東銀行当座預金口座に振り込まれた。

12日 電子記録債務¥120,000が決済され、関東銀行当座預金口座から支払われた。

17日 売掛金¥900,000について、電子記録債務の発生記録を行った。

18日 前期からの電子記録債権が貸倒れとなった。貸倒引当金の残高はゼロである。

19日 買掛金¥700,000について、電子記録債務の発生記録を行った。

22日 受取手形¥75,000が決済され、近畿銀行当座預金口座に振り込まれた。

23日 関東銀行当座預金口座から近畿銀行当座預金口座に¥50,000を送金した。

24日 支払手形¥170,000が決済され、近畿銀行当座預金口座から引き落とされた。

25日 従業員の給料¥140,000から所得税源泉徴収額¥6,000を差し引いた残額を関東銀行当座預金口座から振り込んだ。

28日 水道光熱費¥12,000および通信費¥9,000が関東銀行当座預金口座から引き落とされた。

 

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各取引の仕訳

試算表の作成の場合、取引の日付について採点は全く関係はありません。ということで、なるべく同じ取引については、金額を合わせて解くようにしています。

本問でいえば1日と9日の仕入、2日と8日の売上は一つにまとめることができます。

1日 商品¥500,000¥950,000を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃¥20,000を現金で支払った。

2日 商品¥800,000¥1,190,000を掛けで売り上げた。

8日 商品¥390,000を掛けで売り上げた。

9日 商品¥450,000を掛けで仕入れた。

大したテクニックではないので、そのまま問題文のとおり仕訳を行っても構いません。

後から仕訳をした各勘定科目を加減していくので、なるべく整理をして見やすくすれば効果的ですが、この段階の足し算を間違えると単純ミスにつながります。その点を考慮して使っていただければと思います。

それでは、特に難しいものはないと思われますので、各取引の仕訳を一気に示します。

1日(仕入)970,000/(買掛金)950,000

          /(現金)20,000

2日(売掛金)1,190,000/(売上)1,190,000

4日(当座預金近畿銀行)500,000/(売掛金)500,000

※残高試算表から当座預金近畿銀行関東銀行に分かれていますので注意してください。

5日(買掛金)130,000/(当座預金近畿銀行)130,000

8日(2日と合算)

9日(1日と合算)

10日(所得税預り金)7,000/(当座預金近畿銀行)7,000

11日(当座預金関東銀行)200,000/(電子記録債権)200,000

12日(電子記録債務)120,000/(当座預金関東銀行)120,000

17日(電子記録債権)900,000/(売掛金)900,000

発生記録とは、掛代金をオンライン管理することですから、売掛金(資産)から電子記録債権(資産)に振り替えます。

18日(貸倒損失)10,000/(電子記録債権)10,000

※通常は前期の貸し倒れについて貸倒引当金を使いますが、残高がないのでそのまま貸倒損失(費用)で処理します。なお、当期の貸し倒れについては貸倒引当金の残高があっても貸倒損失で処理します。

19日(買掛金)700,000/(電子記録債務)700,000

※17日と同じように買掛金(負債)から電子記録債務(負債)に振り替えます。

22日(当座預金近畿銀行)75,000/(受取手形)75,000

23日(当座預金近畿銀行)50,000/(当座預金関東銀行)50,000

24日(支払手形)170,000/(当座預金近畿銀行)170,000

25日(給料)140,000/(所得税預り金)6,000

           /(当座預金関東銀行)134,000

28日(水道光熱費)12,000/(当座預金関東銀行)21,000

   (通信費)9,000/

各勘定科目の残高

残高試算表の順番に1月31日の残高を加減して配布されたメモ用紙に記入していきます。計算の表示の仕方は、実際の電卓計算に合わせています。たとえば現金などの資産であれば、残高試算表の残高からすべての借方を足していって、次にすべての貸方を引いていく作業と思われます。

もし、日付順にそのつど足したり引いたりすると、電卓の打ち間違えを引き起こしてしまうので、この方法をおすすめします。

現金:126,000-20,000(1日)=106,000

当座預金近畿銀行:250,000+500,000(2日)+75,000(22日)+50,000(23日)-130,000(5日)-7,000(10日)-170,000(24日)=568,000

当座預金関東銀行:390,000+200,000(11日)-120,000(12日)-50,000(23日)-134,000(25日)-21,000(28日)=265,000

受取手形:100,000-75,000(22日)=25,000

売掛金:480,000+1,190,000(2日)-500,000(4日)-900,000(17日)=270,000

電子記録債権:270,000+900,000(17日)-200,000(11日)-10,000(18日)=960,000

支払手形:190,000-170,000(24日)=20,000

買掛金:330,000+950,000(1日)-130,000(5日)-700,000(19日)=450,000

電子記録債務:160,000+700,000(19日)-120,000(12日)=740,000

所得税預り金:7,000+6,000(25日)-7,000(10日)=6,000

売上:12,000,000+1,190,000(2日)=13,190,000

仕入:9,600,000+970,000(1日)=10,570,000

給料:1,400,000+140,000(25日)=1,540,000

通信費:87,000+9,000(28日)=96,000

水道光熱費:110,000+12,000(28日)=122,000

( )の中には、貸倒損失が入ります。

貸倒損失:10,000(18日)

解答用紙への記入

最後に、この結果を解答用紙に記入して終了です。

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この表には灰色刷りした箇所があります。この部分については2月中の取引がなく、そのままの金額がスライドしてくるものです。つまり、各取引を一生懸命解かなくても書ける場所ですから、採点箇所ではありません。また、大体の決算書関係の合計は合計欄にも採点がありません。したがって、この状態で満点取れるということになります。

時間に追われている方は、その部分を飛ばして次の問題を解きに行きましょう。そして、問題全体が終わって見直し(検算)ができる体制になってから、すべてを埋めることになります。ここで、合計が合わないとどこかが間違っていることとなります。

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ポイントは、本試験では「完璧な残高試算表を要求していない!」ということを念頭に置いていただければ、今後の時間配分も楽にいくのではないでしょうか。もちろん、実際の経理では、お話になりませんが…。

2級でも、この原則はほとんど当てはまりますので、覚えておいてください。

※例外なのは、2級での株主資本等変動計算書ぐらいでしょうか。